その時、佑真君が逃げない様にとずっと掴んでいた手が佑真君によってグイッと引っ張られた。
突然の事に倒れそうになった身体が、ポスンと佑真君の胸へとぶつかる。
と、同時に、
「バーカ」
言葉とは裏腹に優しい声音が降ってきた。
私の背中には佑真君の手がしっかりと回っていて。
ぎゅうって抱き締められてる。
「後悔したって知らねぇぞ」
「後悔なんてしてやらないから」
口では偉そうな事を言いながらも、目からはぽろぽろと溢れる涙。
それを隠す様に佑真君の着ているシャツを両手でギュッと握り締め、佑真君の右肩へと顔を埋める。
「あー。もうほんと馬鹿だな、葉月は。でも、……そんな馬鹿で何しでかすか分かんなくって、見ず知らずの奴に甘えたりしちゃう葉月が放っておけそうにない俺は、……もっと馬鹿だ」
「佑真…くん?」
そろっと顔を横に向けると、真っ赤に染まった佑真君の顔が間近に見える。
真っ赤な顔。
それって……。



