恋のお相手は小さな男の子




つきあたり近くにある曲がり角を曲がると、人からの視線が一気に遮断される。


そのままもう一度近くにあった角を曲がる。


誰も居ない静かな場所。チラッと目に入るのは手洗い場と鏡位だろうか。



ここならゆっくり話が出来る。



クルッと後ろへ顔を向けると、私にちゃんとついてきてくれた佑真君の顔がある。


私の手なんかきっと、振りほどこうと思えば佑真君の力で簡単に振りほどけた筈なのに。


それをせずに来てくれる。


そんな所が好きなんだよ…と言ってしまいそうになるのをグッと堪えると、わざとギロッと佑真君を睨み付けた。



「で、どういう事なわけ?佑真君って小学生じゃなかったっけ?」



好きって伝える前に確認しなきゃならない事が溢れてる。


疑問だらけなんだよ。



私の問い掛けに佑真君が視線を落とす。



「……ごめん、葉月。小学生ってのは、……嘘なんだよ」



言いにくそうにぽつりぽつりと紡がれる言葉。


それがジワジワと脳へと浸透していく。