そのままこの場を去ろうと一歩踏み出そうとした佑真君。
それに困惑した「えっ?」という畑野さんの声が聞こえた時には、既に私の手は動いていて。
「だ、ダメ!」
そう叫びながら佑真君の腕を両手でガシッと掴んでいた。
「なっ……」
腕を捕まれた佑真君は前に進む事も出来ずに眉尻を下げた顔を私へと向けてくる。
逃がしてよ。そう言っている様なそんな顔。
でも、私はここでこの手を離してあげる程甘くない!
「簡単に逃がすと思ったら大間違いなんだから!私は結構執念深いんだからっ!」
私のその言葉に「執念深いって」と思わずフッと鼻で笑う佑真君。
久しぶりにその人を馬鹿にしたような佑真君の顔見た。
ムカつく顔な筈なのに……。
凄い胸がキュッって熱くなる。



