恋のお相手は小さな男の子




振られたのに顔を合わせなきゃならないなんて、めちゃくちゃ切ない。



はーちゃんの切なさを考えて思わず自分の胸を抑えていると、畑野さんが苦々しい顔をユリさんに向けながら口を開いた。



「はっちは、……まあ、来るね」



畑野さんの言葉にユリさんは、ニコッと笑うと「でしょ!宜しくね!」と言ってクルッと私達に背を向け出入口に向かって歩き出す。



「ちょっ、ユリ!」



慌てた様子で畑野さんがユリさんの名前を呼ぶが、ユリさんは振り返らずにひらひらと手を振って去っていく。


もう絶対戻って来ないと思うその行動に流石の畑野さんも唖然だ。


夕香だって、ぽかんと口を開けたままユリさんの後ろ姿を目で追っている。


普通だったら私も畑野さんや夕香と同じ様になるのだが、今の私はユリさんの行動よりも畑野さんとユリさんとの会話に出てきた名前の方が気になって、頭の中をその名前がぐるぐる回ってる。