ふわふわした見た目なのに、何処か強引なユリさん。
見た目のイメージとは違うけど、そこがまた彼女のモテる要素なのかもしれない。
はーちゃんなる人が好きになったのも頷ける。
まあ、はーちゃんは1か月以上前には振られてるんだけど。
「でも俺一人って……」
畑野さんの眉は下がっていて、明らかに困った顔をしてそう言っているのだが、ユリさんはにこっと天使の様な悪魔の様な、どっちとも取れない微笑みを浮かべる。
そしてぽんっと軽く畑野さんの肩を叩くと、
「確かもうすぐ交代時間だから、はーちゃん来るでしょ?」
そう口にしたのだ。
出たっ!『はーちゃん』だ。
はーちゃんはユリさんと同じ法学部の生徒だったわけだ。
同じ学部でよく顔を合わせるから、恋に落ちたというやつだろうか。
よくあるパターンっていえばそうだけど。
振られてるんだよね。……はーちゃん。



