「そっかぁ。難しそう」
何て言うか、法学部っていうのが難しそうなイメージ。
だからそう言ったわけだけど、夕香は私へと顔を向けると首を傾げた。
「葉月だって難しそうだけど」
「そっ……かも」
そんな事無いよ…と言いかけて、止めた。
というか、言えなかったという方が正解かも。
佑真君に言われて色々調べてみたら、歯科技工士もそれなりに大変そうだった。簡単になれるというものじゃない。
やりたい事に向かって進むには、誰であってもそれなりの努力が必要なんだ。
佑真君だって夢に向かって勉強してる。
そう、……佑真君だって。
そんな事を考えたせいで、佑真君の顔が頭を過ったとたん、「はあ……」と溜め息が漏れる。
何だかんだで、さっきから溜め息を何度もしているせいか夕香もまたか…という呆れ顔だ。