「あのさ…」



そう口にした少年の言葉に被せる様に「ほらっ!帰るよっ!」と言いながら、少年の手首をガシッと掴む。


そして、そのままスタスタと公園の出口へと向かって歩を進める。


私に手を引っ張られながらも、渋々付いてくる少年の姿はやっぱり小学生で。


そんな少年に甘えていたなんて、何だか恥ずかしい。


恥ずかしさでカアッと火照る頬を冷ます様に、ぶんぶんと首を横に振った。


その時、


「あんたも帰んの?」


後ろから聞こえてくる少年のその声。


その声が鼓膜を振動させる。



この少年の声音が結構好みだなんて絶対言えない。


小学生の男の子の声がだなんて……。



「お姉さんも帰るから、君も帰る!」



耳に残る少年の声を掻き消す様に、振り返らずに大きな声を出す。


そんな私の気持ちに、当然ながらこの少年は気付いていない。


気付かれたら、恥ずかしくて死ぬけど。



「ふーん。お姉さんってがらじゃねぇけどな」


「お姉さんです!」



剥きになって言い返したのに「はいはい」と、どうでもよさそうに言ってくる少年。