煩そうに耳を両手で押さえる彼は、間違いなく小学生だ。
膝をつき、お尻についた砂を払い落としながら立ち上がる。
と、明らかに私よりも背が低い。
私が155㎝だから、彼は145㎝位だろうか。
それ位の差がある。
「こんな時間に危ないのは君の方だよ!小学生がこんな時間に公園なんて来ちゃ行けません!」
「なっ!」
さっきまで甘えていたくせに、いきなり態度を変えるのもどうかと思ったが、この場合は仕方無い。
だって私、……この子より年上だもん!
当然ながら、私のいきなり変わった態度に少年は目を細めて不満顔だ。
「とーにかく、お姉さんは大丈夫だから!君のお母さんは?仕事?あっ、もしかして迷子かい!?名前は?」
お姉さんとして、この少年を無事に家まで送り届けなきゃと思ったものの、何をしたら良いかよく分からなくて矢継ぎ早に質問をする。
が、少年はぶすっとした顔のまま、チッと舌打ちを繰り出す始末。
そして面倒臭そうにゆるりと右手を上げ、指を差す。
「迷子じゃねーし。家、そこだし」



