恋のお相手は小さな男の子




目に映る彼。


僅かな光を浴びて立っていた彼は、予想とは違ってくりんとした二重の大きな目で。


予想とは違って、黒髪で。


予想とは違って、とてつもなく背が低い。


そして、なんと言っても開いた口が塞がらない程の驚きをくれたのは、彼の左肩に掛けられている物だ。


黒くて四角くて光沢がある、それ。



黒いランドセルだ。



「どぅおえぇぇぇえ!!」



そう叫んだ時、弾みでドタンッとブランコから落ちて地面へと尻もちをついた。



痛い。


痛いけど、今はそれどころじゃない!



目の前の彼を震える手で指差すと、声を出そうとするが声が出ずにパクパクと口を開くだけ。



「何だよ!?」



ぶすっとした表情をして唇を尖らせる彼。


でもそんな彼を怖いなんて思う人なんて一人も居ないと思う。


だって、


だって、……彼は……、



「小学生じゃん!!」



静かな公園に私の叫び声がこだました。