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「さーんたっ!!!」
「どわっ!!!」
急に視界が真っ白に覆われて
顔一面に伝わった冷たさが、俺の思考を引き戻した。
無邪気な笑い声が雪原いっぱいに響く。
「ゆーきのーっ!何すんだよっ!!!」
「珊汰が呼んでも返事しないからじゃーん!」
顔に投げられた雪をコートの袖で払い、俺は雪乃を追い掛けた。
だけど意外にすばしっこい雪乃は
雪に足を取られる俺からどんどん離れてゆく。
さすが、生まれた時からここに住んでるだけある。
「もー、珊汰おそーい!」
それでもマラソンの選手?と笑う雪乃は
悪びれた様子もなく毒舌を振り撒く。
ようやく追いついた俺は
雪乃の腕を引っ張り、後ろから痛くないように首を絞めた。
「うっせーっ!お前なんか雪に沈めてやるっ!」
「きゃははっ、苦しー!」
ドサっと音を立て
雪原に並ぶように倒れた俺たち。
雪に埋もれた体が、寒いはずなのに
何故か心地よくて。
仰向けになったまま、舞い落ちる雪を
二人で眺めた。
そして、どちらからでもなく
自然と繋がった互いの手の温もり。

