「何か、パレードみたいだね。」
そう呟いた俺に
雪乃の顔が弾けるようにこちらへ向けられた。
そして重なった視線に
雪乃の長いまつ毛が、大きく瞬きを繰り返す。
「…ふ、冬崎くん、いつから居たの?」
「…いつからって、ずっと。」
驚いた声で俺を見た雪乃に
平常心を装いながら立ち上がった。
「保科、さんだよね?」
雪乃が立つ窓際まで近付いた俺は
首を傾げて尋ねる。
「…うん。」
俯いた雪乃を黒髪が隠すように
はらりと揺れた。
そして少し戸惑いながらも
「寒くないの?」と聞く雪乃。
「ちょー寒い。」
そう答えた俺は、いそいそとベランダから教室に入って自分の机に向かって呟いた。
「俺さ、ずっと話したかったんだ。」
「え?」
カバンから取り出した黒いマフラーを巻き
振り返った俺は、ポケットからホッカイロを取り出して
「保科さんと喋ってみたかった。」
改めて言い直す。
その瞬間、雪乃の透けるような肌が
リンゴみたく真っ赤に染まったのを、今でもよく覚えてる。

