で、俺が狙いを付けたのは
雪乃が日直をした日の、放課後。
どうしても二人で話したくて
もう一人の日直には無理言って帰ってもらった。
案の定、雪乃は一人教室に残り
日直の仕事をこなしていて。
それをいい事に俺は帰ったフリをして
教室のベランダで、雪乃が職員室から戻ってくるのを待っていた。
「つーか、寒すぎ…っ。」
吐く息が白く浮かび、俺の体を冷やしてゆく。
その日は今年一番の寒さだったらしく吹く風の冷たさが、俺の目を滲ませた。
ここに越してくる前は
わりかし暖かい地方に居たせいか、この寒さには未だ慣れない。
と、その時
俺の頬を撫でた冷たい感触。
誘われるように顔を上げると
空からはらはらと粉雪が落ちてきていて。
思わず見とれていた俺に
教室から伸びてきた細く華奢な腕。
――それが雪乃だった。
彼女の真っ白な手に
音も立てずに落ちていく雪。
待っていたはずなのに
何故か俺はすぐ声が掛けられなかった。
雪を見つめる雪乃の横顔が
見た事もない程、あまりに透明で。
あまりに、美しくて。
あの時の気持ちを
なんと言えば、君に伝わるのだろうか。

