俺の家は、所謂
『母子家庭』ってやつで。
こうして引っ越しをするのは
もう何回目だろうか。
両手じゃ収まらないんじゃないか?
まあ、もうこんなの慣れっこだけど。
母さんは一応弁護士をしてて
裕福、とまではいかないものの
それなりに不自由ない生活をしていた。
父さんの事は、よく覚えていない。
気が付いたら、母さんと二人だった。
俺を育てる為に、いつも遅くまで仕事をしている母さん。
寂しい、そう思った事ももちろんあるけれど
仕事が休みの日、母さんはずっと俺と遊んでくれた。
だから、いつしか
寂しさは消え、今ではそんな母さんが俺の誇りになった。
多分、一人遊びなら
俺は誰にも負けないと思う。
でも、さすがに
こんな田舎で暇を潰すのは、この俺でもキツイ。
「40分…。」
バカだろ。
今時、駅まで40分って。
まだカーテンのない窓から広がる景色に視線を置いて
俺は大きな溜め息をついた。
「ありえねーって。」
このままじゃ
独り言が、癖になりそうだ。

