「…マジ?」
母さんに引き連れられ
今回引っ越してきた場所は、とんでもなくド田舎だった。
見渡す限りに真っ平らな道。
どこまでも続きそうな程広い、田んぼ畑。
「最悪だ。」
こんな独り言でさえ、この人一人居ない畦道じゃ誰も聞いてくれない。
いや、独り言だから
別に誰も聞いてくんなくていいんだけど。
…にしても、本屋は?
CDはどこで買えばいい?
服は?
引っ越す前に見たかったDVDは、どこで借りんの?
いくら首を捻ってみたって、山、山、山。
そして、その隙間を埋めるごとく
申し訳なさそうに建つ民家。
「ありえねー。」
ない。
これはないよ、母さん。
どこだって付いて行く、とは言ったけどさ。
「さすがに、本屋は必要だろ。」
はぁ、と溜め息混じりに吐いた言葉は
今度こそ正真正銘の、独り言になった。

