「だって、あたし達…。」

ごくり、と珊汰の喉仏が上下に動く。





「まだ、高校生じゃん!」

そう、そうなのだ。


あたしが今、プロポーズを受けてる場所は

夜景が見える高級レストランでもなく
水面に月明りが浮かぶ夜の海でもなく


夕暮れ時の、誰も居ない教室。



目の前に、結婚指輪がある訳でもない。


あたし達はまだ、高校生なのだ。



いつもの制服に身を包んだあたしと珊汰。

閑散とした教室で
彼は乱暴に頭を掻いた。



「わかってるよ!だからこうして18歳になった今日、プロポーズしてんじゃん!」

いやいや、そうゆう意味ではなくて。


年齢の問題も、もちろんあるけど

「だから、あたし達まだ高校生じゃん!」

そんな事、有り得ないでしょ?