「はぁ…」
 
 「どした?」

「あ、海波。…ん、まあね。」
  私に声をかけたのはいつも一緒にいる
山里 海波(やまざとみなみ)だ。一応私の恋を応援してくれている。

  「何?何か思い出に浸ってた?」って海波が不意に聞いてきた。

「んー?何て言うんだろう。思い出っていうか、回想。みたいな?」

「ふーん。あいつの?」

「うん。そう。(笑)」

 
  今は10月。もうすぐ合唱コンクールの時期だ。うちの学校では9月に体育大会、10月に合唱コンクールがある。

   「もうすぐ合唱コンだね。」

   「うん。」

   「亜矢はさ、あいつに合唱コンで告んないの?」
     と、唐突に聞いてきた。

   「え!?無理ムリむり。まだそこまでじゃないし、そもそもそんな暇ないよ。」
  それは実際そうだ。でも心のどこかで告らなきゃなっては思っているが………

「じゃあ、いつ告んの?」

   「うー。バレンタインには告りたいけどたぶん勇気出ないと思う。それにさ、今告ったら気まず過ぎるって。同じ班だし。」

   「あー、確かにね。じゃあ2月ね♪」

   「え!?決定!?」うそー。ムリだよー…そんな勇気出ないよ。たぶん…

   「うん、絶対!」

「マジですぁ。でもまだ分からんよ。告うか告わんかは。……あ、じゃ戻るわ。また次の休み時間に行くね。」

   「はーい。」