コート整備から後の片付けは一年生の仕事。帰るのは先輩たちの最後。これは、あたりまえだ。
黙々と一年生が片付けをしていると、女ハンの子達がぞろぞろと体育館から出てきた。
俺の高校は、男女共にハンドボール部がある。
男子は外で、女子は体育館。
なんだこの差。
女だから日焼けにはうるさいってやつ?良く分からないが、昔からの、暗黙の了解である。

外に出てきた女ハンの中で、俺はある女の子に目がいってしまった。
髪はポニーテールで、みんな半袖の中その子だけは長袖だった。二重瞼のパッチリとした目が特に印象的だ。
俺があまりにも見つめていたので、向こうも気づいてニコッと笑って去っていった。
後に明先輩に聞くと、女ハン二年生の中村瑠奈という子だった。ポジションはキーパー。
これを聞いてやっと長袖の理由がわかった。

「一つ上か…」
蓮はポツリとつぶやくと、明先輩と同じバス停に向かった。