「うるせーのはお前だ!だって20点ってあり得ないっしょ」

「そのあり得ない点数を叩き出したお前の脳もあり得ないよな」




背後から「意味分かんねーよ」と小声で聞こえたが
振り返っても皆白い目で俺を見ているだけだった。


俺は無惨にもこんな点数を取ってしまった事を悔やみながら、
力強くテストを握りしめる。


楠木 隼人(くすのき はやと)。
高校一年生、得意科目なし。


高校生活の初日、
自己紹介でそう言ってシラけたのを
今でも鮮明に覚えている。




「分かったら席戻れ。邪魔邪魔」

「......腐れ教師が」




捨てぜりふを言い、渋々自分の席に着く。


あからさまにため息をついたが
周りの視線が俺に集中するだけだった。




「.....姉ちゃんに殺される」




夢うつつに呟くと、自動的に
またため息がもれる。