試験が終わって校舎を出ようとしたら、
雨が降っていたことに気付いた。


「うそっ、、、傘持ってない、、、」


さて、どうやって帰るか、
と考えていたら頭の上に何かが──。


と思って顔を上げると私と同じように、この学校を受験したと思われる男の子が自分と私の上で傘をさして立っていた。


「ん、行くぞ、」


その子はそう言ってゆっくりと歩き出した。
これって相合傘かな、と思いながら私は隣りを歩いた。


その子は、私よりもずっと背が高くて、
黒く染まった少し長いストレートな髪の毛は、このじめっとした風でもふわっとなびいていて、


言ったら悪いかもしれないけど、この学校には相応しくないような感じで、制服が少し乱れている。


でも、その子は私のペースに合わせて歩いてくれて、その上に私が濡れないようにと傘はほとんど私の方にきていて、その子の右肩は少し濡れていた。


学校から駅までは歩いて10分程度しかなく、
何も話さず駅についてしまった───。