中学3年生の冬―。




私は今までに恋をしたことが一度もない。

私はいつもひとりぼっちで好きな人どころか、友達すらいなかった。


お母さんは私に、勉強をすることしかさせてくれない。


中学だって公立の中学ではなく、名門の私立中学に無理矢理受験させられ、受かってしまった。




そして今日は第一志望の私立高校の受験日。
私は付属の高校には行かず、もっと学力の高い高校に行くように言われていた。


その学校は難関大学の附属高校で、ここもまたちょーセレブが行くような場所だから、あまり好きじゃない。


お母さんが「お金はいくらでもあるから、学力の高い高校に行きなさい」と言ってこの高校にした。


だから『私の第一志望校』というよりは、『お母さんの第一志望校』なのだ。


そんなことを思いながらぼーっと朝食を取っていたら、あっという間に時間が過ぎていた。


私は急いで食器を片付け、歯を磨いて、鞄をもって靴を履き、家を出た。


学校に着くとすでに沢山の人が来ていて、私は不機嫌ながらも席に着いた。