俺はチャリに乗って、准と手分けして探す。
「どこにいんだよ……氷空!」
その時、ワイシャツの胸ポケットに入っていたスマホが鳴る。
俺と氷空の大好きな歌が……
♪駆け抜けた日々、流した涙
生きる意味を探してた
GReeeeNの刹那。
「もしもし」
『お、出たで。コンバンワ、藍澤くん♡』
「誰だよ……なんで俺のこと……?」
『キミの相方くん、預かってるからな?取り返したかったら、高木町の空き倉庫来いよ……タイムリミットは、今日の12時や』
「ちょっと待てよ、氷空いんのか?」
『あー、居るで?』
「何もしてねーだろーな」
『それは来てからのお楽しみやな♪』
「テメェ……名前言えよ」
『立川綺羅』
「立川……き……ら?」
おい……冗談じゃねーぞ……
立川って、あの立川だろ?
県下最強の暴力団、響獄の若頭領……!?
「響獄の立川か?」
俺は息を呑んで、質問する。
『俺のこと知ってるん!?嬉しいわ〜♡
ほんじゃ、また後でな〜!あ……忠告。
1秒でも遅れたら、赤城氷空は殺すで』
「なんでだよ、氷空が何したんだよ!」
『原因はお前やねん。藍澤麗人!』
「は……?」
『高校最強のお前とやり合いたいねん。
だから、コイツを捕まえたんや』
「だったら直接、俺んとここいよ!」
『優等生のキミが、喧嘩してんの見たらみんな怯えるで?それでもエエんやったら……』
「分かった……でも、氷空には手ぇ出すな」
『りょーかーい!じゃ、あと2時間半後にな』
ブチッ……
「クソっ……」
今は9時半。
あれから、チャリでずっと探してた。
タイムリミットまで、あと2時間半……
「高木町かよ………すげー遠いじゃねーか」
俺の住んでる、安江町は市街地に近い。
高木町は、ここからチャリで3時間。
「行くしかねー……」
ガシャン…
「氷空……!!!」

