あれから、1時間はこの店にいるかな。
「麗人、これよくね?」
俺は一応、確認の上で麗人にみせた。
「あー、もー、お前のセンスに託した」
「あ、またそーやって人任せにする」
「俺、こーゆーの向いてねぇみてぇ……
選んでてすっげー疲れるわ。自分の服
とかなら全然選べるんだけどな〜」
そんなの、ずーっと前から知ってます。
「じゃ、これとこれ!早く帰んねーと、稽古間に合わねーぞ?麗人先生?」
「その名前で呼ぶなっつってんだろ!」
逃げるように、俺はレジに向かう。
お菓子選びをしていた陽向も、つまみ上げて、会計を済ませて店を出た。
「もう6時半だよ?」
陽向は心配そうに言う。
麗人んち、こっから20分くらいでつくし。
「心配すんなって。ちけーからさ」
そして、店の前から歩き出す。

