あれから、20分走り続けた。
あー、やべぇ。足動かねぇ。
「お、きたきた!おーい!麗人!」
「ハァ…ハァ…」
「ハイ、差し入れ」
氷空は、俺のおでこに、冷え切ったスポーツドリンクを当ててきた。
「冷たっ」
「あー、ごめんごめん」
あはは…と、わざとらしく笑う氷空。
「もう疲れた!早く帰ろーぜ!」
俺は、吹っ切れたように立ち上がる。
「あ、麗輝にお菓子買ってかねーと」
「え?今日、麗輝の誕生日だっけ?」
麗輝(れいき)は、俺の14個下の弟。
「昨日さ、母さんにお菓子買ってきてーって言われたからよ」
「あー、なるほどね!じゃ、早く行こ!」
自分のことみたいに、楽しむ陽向。
「お前には買わねーからな!」
「えー!?ひどーい(._.)」
唇を尖らせて、スネる陽向。
「また今度買ってやっからさ」
よしよし、軽く頭をなでてやる。
こうすると、陽向は結構喜ぶ。
「んー。わかった」
俺たち3人は、玄関から出て街中に歩き出した。

