「部屋は好きに使って良いから」
「え、それアバウト過ぎない?」
「だよな」

言いながら笑う俊は、外で会う時と少し印象が違うように思う。

「でも別に宏太朗なら良いよ。好きに使ってくれて。どうせ明日には帰るし」
「へぇ、どこ?」
「名古屋」
「大変だなぁ」

置き時計に目をやった俊は、「そろそろだな」と立ち上がる。

「出来れば、外出も避けて欲しいんだ。起きた時いてやって欲しいから」
「ぁあ、大丈夫」

本当に、小さい子を持つ母親の台詞みたいだ。