「急に悪いな」
「いや、大丈夫」

玄関フロアで俺を出迎えた俊の案外落ち着いてるその様子に拍子抜けする。

こっち、と案内されてリビングが一人暮らしにしてはあまりにも大きくて、ここはファミリータイプのマンションなんだと理解する。

「熱は?」
「39度」

綺麗に整理されたリビングやキッチンから、俊の性格が見て取れる。

「俺これから出張なんだ。だから梢の面倒みて欲しいんだけど」
「・・・え?」
「梓に連絡したらちょうど明日宏太朗が休みって聞いたから」

こいつらって、彼女が絡むと本当に周りへの配慮っつうか、遠慮っつうか、そうゆうの消えるんだな。

「つかこれから?」
「朝一で向こうに居なきゃいけないんだよ」
「時間平気なのか?」
「ぁあ。ずらしたから」