あの場所で。



「俺だって喋りますよ」



置かれたコーヒーを飲みながら、そういう総長さん。


あのときはよく見えなかったけど。


顔がすごく整ってる。


そこ等の女が見たら一目惚れするだろう。



「...お前」



「ん?」



「名前は?」



「...橘 愛結。

あなたは?」



「桜崎 楓」



「ふーん。

じゃあ、もう帰るね。


マスターありがと」



飲み終わったカップと代金を置いて。



「また来てね」



「もちろん」



「じゃあな」



「ん」



そう言って手をひらひらさせながら、カフェをあとにした。