あの場所で。

【愛結side】


* * *



「ん……」



あまりの寝心地の良さに、寝返りをする。



なんとなく。体が重い、と感じた。



ゆっくりと瞼をあけると、目を丸くする。



「な、んで……」



目の前には楓の胸板。上を見上げれば、楓の整った顔。体に乗っかっている重い正体は楓の腕。



……つまり。



抱きしめられて、寝ていたのだ。



「ん……あ、愛結。はよ」



「楓…お、おはよ。

あの、さ。私昨日の夜の記憶が全くないんだけど……」



恥ずかしさで目を合わせられずに、そう言えば「ああ」と言って。



「俺が風呂から上がってきたときに愛結がソファで寝てた。だからここに運んだ、」



そんで、と言いかけて楓は、続けるのをやめた。



「そんで……?」



「いや、眠かったからそのまま愛結と寝ただけ」



「そう……ありがとね」



運んでくれたことに対してお礼を言ってから「顔洗ってくるね」と言い残して部屋をでた。