あの場所で。


それを察したのか、楓は「絶対こいよ」と耳元で囁いた。



……まったく、こいつはというやつは……。



「愛結?顔赤いぞ」



「……気にしないで」



顔を隠しながら言えば「そうか」と、大和が言って。隣にいる楓は、それを見て口角をあげていた。



この野郎、なんて思っていたら大和が突然「あ!」と、声をあげて。


「やべ!親父が〝今日は早く帰ってこい〟って言ってたの忘れてた!!」



早く帰ってこいって…………



「もう8時じゃん……」



「わりぃ!今日はもう帰る!

また明日な!」



呆れながら言えば、大和は急いで帰る支度をして、バタン、とドアの音を立てて帰っていった。