でも、あの日。俺がまだ総長になったばかりの時。
愛結が海を眺めているのを見て。何故かどんどん心を奪われていった。
「楓、落ち着いた?」
その言葉にハッ、と我に帰る。
「あぁ、大丈夫だ。ありがとな」
そう言いながら頭を撫でれば、「ううん、対したことはしてないよ」と悲しげに言われて。
「そんなことねぇよ。今ので結構支えになった」
だからありがとう、ともう一度言った。
「ふふ、じゃあそろそろカレー作らないと」
「そう、か。じゃ、大和んとこ戻ってる」
「ん、わかった」
最後にギュッと抱きしめて、大和の元へ向かった。
