あの場所で。


袋の中から材料を一通り出すと、料理に取り掛かる。


幼い頃から自炊していたし、料理が嫌いなわけでもない。むしろ好きな方だ。


野菜を切っていると、後ろから足音が聞こえる。


「……楓?」


ズボンのポッケに手を入れて歩く彼に、どうしたの?と問えば、別に、と答えられて。


「ちょ、危ないから………」


後ろからふわっと抱きしめられた。


「……気にしなくていい」


気にしないでいられるわけがない。


「楓……?カレー作れなくなっちゃうから……」


そう言っても離れてくれなくて、仕方なく手を止める。