しょうがないな…。

あたしは、まだすねている夏実にチョコを差し出した。


「ほら、あげるから。機嫌直してよ~」

「えへへ~、ありがと、愛華!」


チョコを渡した瞬間に、笑顔になるとか…。


「子供か…」


あたしは呆れたように呟く。

呆れられてる張本人の夏実はというと…


「香奈ちゃん、見てみて!チョコだよ!」

「はいはい。」

「美味しそうだね!いる?」

「夏実が食べなよ」

「わーい!」


…やっぱり子供だった。


「てか、あんたも貰ったでしょ、チョコ」


早くも箱を開けて、チョコを食べようとしている夏実に言う。


「貰ったよ~?」

「あれだけ先輩、後輩、同級生にばらまいたら貰うでしょ」


香奈が苦笑交じりに言った。

そう、夏実はお返し欲しさに学校中にチョコを渡してまわったのだ。

しかも、一口チョコ。

…あたしだったら、即ポイだな。うん。