「な、夏実………」


夏実は、むー、とあたしを睨む。

あたしは急いで愛想笑いをした。


「ごめんね」


甘えた声で可愛く。

これが、男には効果テキメンなんだなー。


「………許さないもん」


だめだった。

当たり前か。

夏実、女だし。


「夏実〜、ごめんってば!そんなに怒らないでよ〜。ね?」

「………むぅ〜」


夏実は額を押さえたまま、許す事を渋っていた。

あれ、許してくれない?

この可愛い顔で謝ってるのに、許してくれない?

えー、困ったなー。

夏実、根に持つタイプだもんなぁ。


と、あたしが困りに困っていた時、


「夏実〜、愛華〜」

と、鈴の音のような声が聞こえた。