「あのさ、ちょっといい?」


委員会の資料を確認していた香奈と、その資料を覗き見していた夏実が、同時に顔をあげた。


「何?」

「どーしたの?」


あたしは恐る恐る聞いてみる。


「あのさ、恋してるときって、どんな感じ?」

「え?」

「ん~?」


2人は一緒に考え込む。


「あ、別にそんな難しく考えなくていいから!なんとなく、って感じで!」


あたしは、焦ったように言葉を付け足す。

しばらく沈黙が続いた。


「…私は、1番に嫌われたくないって考えるかなぁ」


最初に口を開いたのは香奈だった。


「やっぱり、嫌われるのは1番避けたいしね。だから、ちょっといい子になるかも」


香奈は、はにかみながらそう言った。

嫌われたくない、かぁ…。


「夏実は、恋したことないしわかんない」


夏実がケラケラと笑いながら言う。


「でも、絶対目で見ちゃうと思う!あとは、んーと…」

「言いたいことが決まってから話しなよ」


途中で考え込んだ夏実に、香奈がばっちり指摘する。