その時、HRの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「祐!ちょっとこっち来い」
ヤマ君が祐を呼ぶ。
「あ、ちょっと行ってくるな」
祐が席を立つ。
柔軟剤のいい香りを残して、祐は行ってしまった。
あたしの心臓が、バクバク動いている。
信じられない。
体が浮きそうな、ふわふわした感じ。
嘘。
ありえないって思ってたし、さっき夏実と香奈の前で否定もした。
「転校生がイケメン君で、恋に落ちるなんてありえないからね」
ありえた。ありえたんだ。
あたし、恋したんだ。
祐に。
直感で、そう思った。
あたしに恋がやってきた。


