あたしは、こっそり教室を見渡す。

一番後ろの窓際。

教室を一番良く見渡せる場所。


皆、風崎祐から目が離せていない。

彼の圧倒的すぎる存在感のせいだ。


「席はあの空いてる席だから。視力とか、問題ないか?」

「はい、大丈夫です」


ヤマ君が指定した席は、あたしの前の席。

その隣の席の女子が、驚いたように自分の隣の席を見る。

…嬉しいのかな。

いや、絶対嬉しいか。


多分、あの子一目惚れしたんじゃないかな。

してそうだなぁ。


風崎祐がこっちに歩いてくる。

ちょっと落ち着かない様子の隣の女子。


また一歩、風崎祐が近くなる。

急に髪を整えだす隣の女子。

何を期待しちゃってるの。


風崎祐が席に着く。

椅子に手をかける様子をチラチラ見ちゃう隣の女子。

挙動不審な感じが、見るからにおかしい。


ちょっと笑っちゃいそう。