あんな奴に彼女がいて、あたしも夏実も香奈もいないなんて、世の中どうかしてる。
まぁ、あたしも夏実も好きな人がいないから、論外かな。
とか考えて、窓の外を見る。
空が青いなぁ…。いい天気。
皆はそんな事にも気がつかずに、転校生の話ばかりしている。
ざわざわした教室に、ヤマ君の声が響く。
「おい、静かにしろ。転校生の紹介できないだろー」
ヤマ君の一言に、皆が一斉に静かになる。
「よし、入っていいぞ」
ヤマ君の言葉の後、ガラッと教室のドアが開く。
彼はヤマ君の隣に立って、皆を見渡す。
「風崎祐です。よろしくお願いします」
はっきりしてて、どこか安心する声で、風崎祐はそう言った。
一礼して、顔を上げる。
さらさらの茶髪が少し顔にかかる。
ほんのり日焼けした肌。
すらっとした身体は、180㎝はありそうだ。
切れ長の目に、筋の通った鼻と、形のいい唇。
一言で言うと、完璧なイケメン。
そんな人、風崎祐がそこにいた。


