多分、あたし達みたいなモテる人間に恋した人のする事だと思う。


「…夏実もいつか、言えるかな」

「え?」

「好きな人に、好きって言えるかな」


夏実は、ずっとラブレターを見つめている。


「言えるよ」


あたしは断定した。

もしかしたら言えないとか、そういう可能性は無視して。


「そうかな」

「うん」

「夏実ね、優しい人がいいな」

「わかるよ」


まぁ、優しくない人がいい人なんていないでしょ。


「あとね、料理の上手な人」

「いいじゃん」

「うん」

「見つかるといいね」

「見つかったら、好きって言いたいな」



夏実は、ゆっくり箱のふたを閉めた。