俺は、その日から笑顔が嫌いになった。 笑顔なんていくらでも偽れる。 それだったら無表情のままでいいじゃないか。 俺は、笑わなくなった。 笑うたび、母さんと過ごしていた、楽しい過去の記憶がよぎる。 それが嫌だった。 辛いし、いちいち泣きたくなる。 でも、汐梨といるときはなぜか違った。 汐梨の笑顔は、いつも本心にみえたから。