瞳のクラスは体育会系と文科系、
それと中間ナンパ系とに分かれていて、
いずれにも属さない5人がいた。

ニヒルな筑紫龍之介、関西弁の浅野匠。
パソコンオタクの六角一、それに
夢想壁の瞳としっかりものの友人坂の上愛。

この5人はどのグループからもはみ出して、
いつしか吹き溜まりのように集まった。

校長、教頭、教務主任はそれぞれ
劉備、孫権、曹操タイプで、教職員は
全てどれかの派閥に属していた。

その日家に帰ると瞳の母が、
「修学旅行の準備は大丈夫なの?」
「大丈夫よ。石を見に行くだけだから」

瞳は2階に駆け上がる。部屋で着替えて
机に座ると母が、ご飯までまだ時間があるからと
チーズケーキとホットミルクを持ってきた。

置時計のねじを巻いてミルクを飲む。
「アツッ!」やけどしそう、そう思って
いるうちにうとうとと眠くなってきた。