さよならさえ、嘘だというのなら


「松本。いるのか?」

夜の学校は
みんなと一緒だと最高に楽しいけど
ひとりだと
こんな怖い場所はない。

そして確認したい目的の場所は例のウサギ小屋。

正面の門は閉まっているから
テニスコートに抜ける裏側のフェンスを飛び越え侵入。

誰もいない学校は暗く静かで不気味。

早く確認して出よう。

まとわりつく夏の湿度が息苦しい。

足早にテニスコートを突っ切り
奥まってるウサギ小屋に向かう。

暗がりにある正方形の小屋。

白いウサギが6匹
愛らしい姿で俺達を癒してくれた。

この小屋も来週には壊すけど
中にはまだ
こんもりとしたワラの山が残されていた。

「まつもとー!」
一度声を出すけど
返事はない。

いないか

やっぱり俺の気のせいか。

よかった……。

ホッとして戻ろうと思った時

ウサギ小屋の中で

何かが動く。

えっ?

身体が凍りつき
身動きでない。