さよならさえ、嘘だというのなら


「……ごめん」

素直に謝ると

「……私こそ……ごめん」

小さくつぶやき
そのままブランコを彼女は揺らす。

オレンジ色の夕焼けが工場を照らし、綺麗なシルエットを浮かばせる。

顔を上げてほしかった。

この景色を見せたいけれど……無理だろうな

無意識に
彼女を嫌な気持ちにさせてしまった俺。

どこが地雷なのか
それもわからないという

自己嫌悪。

やっぱ俺ってサイテー
七瀬の言うとーり
人の気持ちがわからないヤツなんだろう

今までの楽しい時間が崩れてゆく

「ごめん」
もう一度謝り
落ち込みながらブランコから立つと

「ローソンの向かいにローソン……探せばありそう」

凪子は顔を上げてそう言い

「工場が綺麗だね」

俺が見せたかった景色を見て
目を丸くして静かに言う。

「綺麗だろ」

俺はまたブランコに座り直し
心の中で『よっしゃー!』って大きく叫ぶ。

もっと
彼女の声が聞きたくて

彼女の笑顔が見たかった。