さよならさえ、嘘だというのなら


「明日あたり雨が降るから、止んだら一緒に見に行こう」

「……うん」

「案内する」

「……わかった」

「だから今日は死ぬな」

「……わかった」
凪子は涙を拭いて微笑む。

よし今日はセーフ
明日はおっけーとして
明後日からどうしよう

いや
一生ごまかして景色を探そう。

「颯大君」

「何?」

「ありがとう」

「別に……」

「私……」

凪子は真剣な顔になり
何か大切な話をしようとした時

「凪子!」

大きな声が聞こえ
凪子の顔色が一瞬で恐怖に変わる。

「ここにいたんだ」
歌うように須田海斗は一台の車から降り、俺達の元へ走る。

凪子は俺の胸で震えていた。

「どんな話をしていたの?」
爽やかな口調とは裏腹に須田海斗は、俺の胸に中にいる須田凪子を、乱暴に自分の腕の中に入れた。

「おい」

「人の女に手を出してんじゃねーよこの田舎者」
素早い動きで須田海斗は俺のみぞおちに強い力でこぶしを入れ、油断していた俺は思いきり後ろに倒れる。

「颯大君!」
飛び出そうとする凪子の身体を奪うように須田海斗は彼女を拘束し、俺に笑ってこう言った。

「僕のおもちゃに手を出さないでくれる。もう寝た?こいつ僕とも寝てるから」と……。