「どう?壁画の進度は」

昼休み、図書室のカウンターの中で図書館司書の林さんが聞いてきた。

カウンターの中は本来、図書当番の人しか入れないが、図書委員長になってからの私はその権力を活用して、昼休みはカウンターの中に居座り続けている。

「まあまあです」
「執行部の作業もしてるんでしょ?」
「そうなんですよ。
こないだ小田原先生にもっと早く図書委員の仕事に来いって言われて、執行部に仕事もあるのに酷くありません?」
小田原先生とは体育の女教師だ。

「大変ねえ」

林さんは元々キャビンアテンダントをしていたという経歴を持つ。

歳は母親と同じぐらいだが、
休みの日に一緒に吹奏楽部のコンサートを観に行ったり、
パフェを食べに行ったりと、お友達のように仲良くしてもらってる。

「林さんとカラオケ行きたいなあ」
「いいわね。スガシカオばっか歌っちゃう?」
「いいですね!」

でも、今は学校なのでこういう話題はヒソヒソ声で。