執行部の集まりが終わると私は急いで図書室へと向かう。
「失礼します!」
「あ!委員長来た!」
2年生の女子に手を引かれながら机の前に立たされる。
「取り敢えずこの5つに決まりました!」
5枚のデザイン画。
これは文化委員が課せられた仕事で、体育館のステージに飾る壁画を作る為に、全校生徒からデザインを募集したものだ。
「最後の決定は、委員長のいちちゃんにお願いしようと思って」
そう言いながら微笑む同級生に私は曖昧に笑った。
青木彩芽。
あだ名は「あっちゃん」。
彼女は余り好かれていなかった。
それは、彼女の空気の読めない人懐っこさとマイナーな趣味が原因だった。
彼女が来ると逃げる。小学校の頃のよくある風景だった。
そして私はそれを止めようとしなかった。
中学に上がると、陰で笑われる事は続いていたが、あからさまな拒絶は無くなり、彼女にも笑顔が増えた。
けれど、私の中で何もしなかった事への罪悪感はずっと残っていた。