中学一年生。夏の後半。



関谷優斗くんはやっぱりカッコいい。


そんなことを考えているのは私、佐伯若葉。

中学生の恋愛なんてばかばかしいと自分でも思っていたが、それにしても関谷くんは大人も目を止めるぐらい出来上がっている。

体育祭のリレーは地域じゅうが盛り上がった。

でも…。

隣にいっつもくっついてる石松駿也はたいしたことない。

「なーに、若葉はまた関谷に見とれてんの?」

いきなり山口理穂に話しかけられた。

理穂は幼馴染みですっごい仲がいい親友だ。

「だってかっこいいんだもん。」

「そうやって見てるからクラスのみんなが若葉の好きな人知ってるんだよ。」

そう。

暇さえあれば関谷くんを見てるからみんな自然と知っていた。