*ヘンリ*
ヘンリ・ジュン・ハワードは幼い頃、母親の家で育ち桜庭純として生活していた。
母は伯爵の妾であった。
だが伯爵は政略結婚で結ばれた正妻のマティルダ王女よりも母のケイコ・サクラバを愛していた。
話し合いの末、父はマティルダ王女と離婚し、母と再婚した。
両親は交通事故で他界したが、マティルダ王女と父の息子アーサーと力を合わせ生活をしていた。
仲の良い異母兄弟だったと思う。
やがてアーサーも戦火に巻き込まれ他界したが、ヘンリが相続すべき爵位を相続破棄し、生まれ故郷に帰国していたのだが、仲の悪かった叔母が伯爵家のヘンリの部屋を片付けず、残していたこと、マティルダ王女とともに実は気にかけていたことを知り、爵位を継承した。
だけどそれは遠い未来の話。地球から遠く離れた人造惑星での出来事だ。
ヘンリとリーザは宇宙を旅して地球に来たものの、この地球という惑星がどういう惑星なのか気になって、二人はタイムトラベルをした。
一九九五年、孫の薄雪が生まれた。今年は二〇一五年だ。
「思えば遠くに来たものだ」
ヘンリはそう思う。自分のルーツを求めてここまで来たのだ。
リーザは優しげに微笑むと「あなたの人生の旅なのですから」と返した。
ヘンリは苦笑いすると「お前は故郷が恋しくはないか?」と訊ねた。
最初、リーザはキョトンとしていたのだが、ヘンリは意外そうにリーザを見つめてこう続けた。
「薄雪もじきに二十歳になる。帰ろう、お前の故郷に。オレはもう十分満足しているから……」
そうして薄雪たちにその話をすると家族は全員未来の世界に興味を示して、宇宙旅行をしたいと申し出た。
こうしてヘンリの自分探しの旅は終着駅へと辿り着く。
今度はリーザの番だ。
二〇一五年の春、桜がもうじき咲く頃、今年の桜は薄雪の祖父母の惑星で見ることになった。
薄雪たちに新しい世界が広がり、日本を後にする。
とはいえ未来の世界では自由に行き来出来るので寂しくはない。
薄雪やセリカにしたら旅行感覚なのだから。
今年ももうすぐ桜が咲く。
「帰ろう、家路へと。もう十分満足したのだから」
未来の世界の不思議な話。
春の訪れを感じながら、伯爵家へと戻った。
仲直りした叔母のこと、マティルダ王女、そして庭の桜の樹の元に眠る両親と異母兄の墓参りを済ませて。
「お帰りなさい、ヘンリ、我が家へ」
叔母のテリーザが迎える。
「ただいま叔母さん」
ヘンリ・ジュン・ハワードは幼い頃、母親の家で育ち桜庭純として生活していた。
母は伯爵の妾であった。
だが伯爵は政略結婚で結ばれた正妻のマティルダ王女よりも母のケイコ・サクラバを愛していた。
話し合いの末、父はマティルダ王女と離婚し、母と再婚した。
両親は交通事故で他界したが、マティルダ王女と父の息子アーサーと力を合わせ生活をしていた。
仲の良い異母兄弟だったと思う。
やがてアーサーも戦火に巻き込まれ他界したが、ヘンリが相続すべき爵位を相続破棄し、生まれ故郷に帰国していたのだが、仲の悪かった叔母が伯爵家のヘンリの部屋を片付けず、残していたこと、マティルダ王女とともに実は気にかけていたことを知り、爵位を継承した。
だけどそれは遠い未来の話。地球から遠く離れた人造惑星での出来事だ。
ヘンリとリーザは宇宙を旅して地球に来たものの、この地球という惑星がどういう惑星なのか気になって、二人はタイムトラベルをした。
一九九五年、孫の薄雪が生まれた。今年は二〇一五年だ。
「思えば遠くに来たものだ」
ヘンリはそう思う。自分のルーツを求めてここまで来たのだ。
リーザは優しげに微笑むと「あなたの人生の旅なのですから」と返した。
ヘンリは苦笑いすると「お前は故郷が恋しくはないか?」と訊ねた。
最初、リーザはキョトンとしていたのだが、ヘンリは意外そうにリーザを見つめてこう続けた。
「薄雪もじきに二十歳になる。帰ろう、お前の故郷に。オレはもう十分満足しているから……」
そうして薄雪たちにその話をすると家族は全員未来の世界に興味を示して、宇宙旅行をしたいと申し出た。
こうしてヘンリの自分探しの旅は終着駅へと辿り着く。
今度はリーザの番だ。
二〇一五年の春、桜がもうじき咲く頃、今年の桜は薄雪の祖父母の惑星で見ることになった。
薄雪たちに新しい世界が広がり、日本を後にする。
とはいえ未来の世界では自由に行き来出来るので寂しくはない。
薄雪やセリカにしたら旅行感覚なのだから。
今年ももうすぐ桜が咲く。
「帰ろう、家路へと。もう十分満足したのだから」
未来の世界の不思議な話。
春の訪れを感じながら、伯爵家へと戻った。
仲直りした叔母のこと、マティルダ王女、そして庭の桜の樹の元に眠る両親と異母兄の墓参りを済ませて。
「お帰りなさい、ヘンリ、我が家へ」
叔母のテリーザが迎える。
「ただいま叔母さん」


