君と描いた日常-負け組女子高生

一瞬心の中の何かがそれを躊躇した。


しかし、彼女の頭の中には再び学校での記憶が甦った。


悠紀は、力を込めたハサミの刃を思いっきり引いた。


手首に浮かんだ1本の線から、じんわりと赤い液体が溢れてくる。


やがて、生暖かいそれは重力に従って床に滴り落ちた。


悠紀は呆然とその様子を眺めていた。


まるで自分じゃない何かが、客観的に自分を見ているような気分だった。


自分の心に薄い膜が張った様で、ずたずたになった心が保護されていくような感覚だった。