君と描いた日常－負け組女子高生

トイレの個室の鍵をしめると、いつも悠紀の頭にはその日の出来事が走馬灯のように頭を横切る。


もちろん、胸を締め付けるような事ばかり。


クラスの子が悪口を言うのが聞こえてきた事だったり、
悠紀の落とし物を拾った子が雑巾をつまむ様に机の上に投げ置いた事だったり、
些細な事がいくつも重なってぐるぐる、ぐるぐると悠紀の頭を駆け巡った。


どんどん過敏になり、嫌な情報ばかりキャッチしてくる耳は、麻痺するどころかますます神経質になっていった。


例えば廊下を歩いた時に後ろから聞こえる笑い声だったり、
話した事もない同級生の視線だったりが、全部自分にあてられているものではないか、と悠紀は常に不安にかられる様になった。


そんな事を思い出す度、他の事を考えなくては、
と頭の中の些細な記憶を探してみても彼女の頭の中はそんな最悪な出来事を掻き消せる程の思い出なんか何１つ残っていなかった。