君と描いた日常-負け組女子高生

悠紀が下に落ちたみかんを拾おうとしゃがみ込んだ時、4人はタイミングを見計らったように一斉に遠くへ走って行った。


悠紀が顔をあげた時、そこには誰もいなかった。


ただ、遠くから聞こえる笑い声は確かに彼女の耳に届いていた。


「ちょっと、ほんとに焦っちゃったー」


「超こわかったんだけど!」


「ストーカー?」


「きゃははは」


悠紀の頭からスーっと血の気がひいていった。


彼女の精一杯の勇気は、こんな形で崩れていった。