「喉渇いたな、お財布持ってこれば良かった。」


私はパタパタと手で顔を仰ぐと、悠紀はニヤリと意味深な笑顔を見せ、スカートのポケットをまさぐった。


「えへへ、あった」


ポケットから抜き取られた悠紀の手のひらには100円玉が3枚、並んでいた。


「ちょっと待ってて」


悠紀はそう言って土手を駆け上がると、自販機で水を一本買って戻ってきた。


蓋を開けた悠紀はぐいっと豪快に口に流し込むと、残った水を私に差し出した。


「いいの?」


悠紀は手の甲で口を拭いながら頷いた。


「もう全部飲んじゃって」


「ありがとう」


私も一気にペットボトルを傾けると、残りの水を飲み干した。